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類の言葉は、いつでもガツンと胸に響く。
その度に私は、もう恥ずかしさを通り越して、何故か泣きたくなるんだ。
「とりあえず、まだいろいろ話したいんだけど。詳しい事は、次会ったときに話すよ。長くなりそうだし」
「……うん、わかった」
「莉菜も明後日、あの人とちゃんと話してきてね」
「うん」
……そうだね、次は私の番だ。
「どこで会うの?」
「いつもの居酒屋だけど」
「は?居酒屋?なんで?」
「なんでって言われても……賢とご飯行くときとかは、いつもそこって決まってたし」
私がそう説明すると、類は電話の奥で深く長い溜め息をついた。
「あのさ。居酒屋はないだろ」
「だって他に話せる場所なんて思いつかなくて……」
「この広い都会の中、話する場所なんていくらでもあるから。まさか酒飲みながら話そうとしてるわけじゃないだろ」
「それはさすがに思ってないけど」
「じゃあ、場所変えて。とりあえず、居酒屋はナシ」
「えー……」
「えーじゃないし」
厳しく私の発言は遮断された。
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