16年間の優しい嘘

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類の言葉は、いつでもガツンと胸に響く。 その度に私は、もう恥ずかしさを通り越して、何故か泣きたくなるんだ。 「とりあえず、まだいろいろ話したいんだけど。詳しい事は、次会ったときに話すよ。長くなりそうだし」 「……うん、わかった」 「莉菜も明後日、あの人とちゃんと話してきてね」 「うん」 ……そうだね、次は私の番だ。 「どこで会うの?」 「いつもの居酒屋だけど」 「は?居酒屋?なんで?」 「なんでって言われても……賢とご飯行くときとかは、いつもそこって決まってたし」 私がそう説明すると、類は電話の奥で深く長い溜め息をついた。 「あのさ。居酒屋はないだろ」 「だって他に話せる場所なんて思いつかなくて……」 「この広い都会の中、話する場所なんていくらでもあるから。まさか酒飲みながら話そうとしてるわけじゃないだろ」 「それはさすがに思ってないけど」 「じゃあ、場所変えて。とりあえず、居酒屋はナシ」 「えー……」 「えーじゃないし」 厳しく私の発言は遮断された。
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