16年間の優しい嘘

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「莉菜ってほんと、無頓着だよねそういうとこ」 何か前にもこんなような事、言われた気がするのは気のせい? 「まぁいいや。俺が教育し直せばいいだけの話だし」 「教育?」 「ずっとそんなんじゃ、危なっかし過ぎて俺が困る」 その後も類はちょこちょこ私に文句を言ってたけど、うるさいなぁなんて思いながら、私はハイハイ言って話を聞いてあげた。 「ちゃんと聞いてんの?」 「ハイハ……」 「教育しがいがあるね」 「……類に教育なんてされないからね。もう寝る!おやすみなさい」 そう早口で言うと、類のふっと笑う声が聞こえた。 「電話くれて、嬉しかった。ありがと。おやすみ」 その言葉が耳に響いた直後に、電話はプツッと切れた。 電話を切る直前にドキドキさせるの、やめてほしい。 私はベッドの布団を頭まで被って、ドキドキが収まるのをしばらく待ってから眠りについた。
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