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「あの頃は気付かなかったけど……今思えば多分俺、お前の事ばっか見てた気がする」
「……」
「好きだって気付くには、相当時間かかったけどな」
賢が、ふっと息を吐くように笑う。
「あー……なんで俺、こんなガサツな女がいいんだろ」
賢の今までの恋愛を、私は全て知っている。
今まで賢が付き合ってきた女性に、ガサツな人なんて1人もいなかった。
家庭的な優しい雰囲気の、可愛らしい女性ばかりだった。
細かい事にも心配り出来るような、私とは正反対の女性ばかりだった。
「お前は知ってるだろうけど、俺、今まで女と付き合っても長く続いた事なかっただろ」
「……うん」
どの女性も、本当に女の私から見たって素敵な人ばかりだったのに。
賢の恋愛が、長く続く事はなかった。
「続かなかったのは、結局お前といた方が楽しかったからだよ」
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