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「泣きやんだ？」
「……うん」
「何か俺のハンカチ、一気に汚くなったな」
確かに、夜で暗いからよく見えないけれど、きっと涙でマスカラとか落ちているから絶対にハンカチは汚いはずだ。
「細かい男は嫌われるよ」
「お前みたいな大雑把な女もな」
コイツ、ホントに私の事好きなのか？って思うくらい、失礼な言葉が続くんですけど。
「だからさ。お前には、俺くらいがちょうどいいよ」
「……っ」
「俺はやっぱり、お前がいい。お前と一生バカな事言い合って、一緒にいたい」
その言葉で、また溢れ出しそうな涙を必死に堪えた。
私は、もう既に決めている答えを口にした。
「賢、ごめんね。……どうやったって、賢はやっぱり、友達だよ」
キスしたいとか、してほしいとか。
触れていたいとか。
抱きしめてほしいとか。
恋をしたら当然のように生まれてくる感情が、どうしても賢が相手だと、考えられなかった。
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