16年間の優しい嘘

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「ごめんなさい」 「そんな何度も謝んな。余計傷つく」 「……ごめんね」 賢は小さくハハッと笑いながら、私の髪をグチャグチャに掻き乱した。 「ちょっとやめてよ……」 「ヤバイ。こうなるのわかってたはずなのに、結構思ったよりキツイな」 そう言って賢は、私の髪に手をやったまま俯いた。 私はその手を振りほどかずに、黙ったまま少しも動けなかった。 「お前が4年付き合ってた男に失恋したって聞いたときに、行動起こせば良かったかな。……類よりも、先に」 「……」 「だけど俺はズルイからさ。多分、類がお前の事口説いてるって聞かなかったら、俺は一生お前にこんな事言うつもりなかったよ」 真っ暗で誰もいない、静かな公園で。 賢の、いつもより少し掠れた声が胸に響く。 「一生、友達としてお前の傍にいれればいいって思ってたけど。でも、類の事聞いた瞬間、すげぇ焦った。……困らせて、ごめんな」 私は、小さく首を横に振る事で、精一杯だった。
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