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「ごめんなさい」
「そんな何度も謝んな。余計傷つく」
「……ごめんね」
賢は小さくハハッと笑いながら、私の髪をグチャグチャに掻き乱した。
「ちょっとやめてよ……」
「ヤバイ。こうなるのわかってたはずなのに、結構思ったよりキツイな」
そう言って賢は、私の髪に手をやったまま俯いた。
私はその手を振りほどかずに、黙ったまま少しも動けなかった。
「お前が4年付き合ってた男に失恋したって聞いたときに、行動起こせば良かったかな。……類よりも、先に」
「……」
「だけど俺はズルイからさ。多分、類がお前の事口説いてるって聞かなかったら、俺は一生お前にこんな事言うつもりなかったよ」
真っ暗で誰もいない、静かな公園で。
賢の、いつもより少し掠れた声が胸に響く。
「一生、友達としてお前の傍にいれればいいって思ってたけど。でも、類の事聞いた瞬間、すげぇ焦った。……困らせて、ごめんな」
私は、小さく首を横に振る事で、精一杯だった。
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