16年間の優しい嘘

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「もう、私の事はいいから。それより豪、会社遅刻するよ」 「うわ、やべっ!行ってきます!」 バタバタと慌ただしく豪が出て行ったのを見届けた後、私も豪が焼いておいてくれたトーストに口をつける。 ちゃんと、賢と話さなくちゃ。 未来ちゃんの事は、類が責任持ってちゃんとするって言っていた。 でも賢との事は、当事者の私以外、解決出来る人なんていない。 だけど、何て連絡したらいいんだろう。 そんな事をモヤモヤ考えながら朝食を食べていると、テーブルに置いていた携帯が鳴り響いた。 画面を覗くともう1人の親友からの着信で、すぐに私は電話に出た。 相変わらず、タイミングの良い親友だ。 「もしもし」 「あ、椿?今まだ家?」 「うん、そうだけど。どうしたの?こんな朝早くに」 時計を見ると、まだ朝の8時20分。 こんな時間に美月から連絡来ることなんて、めったにない。
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