16年間の優しい嘘

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「椿、賢ちゃんと何かあったの?」 いきなり直球な質問、きた。 「どうして?賢、何か言ってたの?」 「昨日の夜、賢ちゃんに電話したんだよね。そしたらさぁ、今度椿と3人でご飯行こうよって言った途端いきなり黙り込んじゃって」 「……」 「何かあると思うじゃない?で、聞いたら、『俺、アイツに最低な事した』とかしか言わないし。『この先何があっても、お前だけは椿の味方でいてやって』とか言ってくるし」 「え……」 賢、そんな事言ってたんだ……。 「詳しいこと事は椿に聞いてって言われて、電話切られたんだよね。結局朝になっても気になっちゃってさぁ。ね、何があったのか教えてよ」 言ってもいいのかな、って一瞬考えたけど。 本当は私も、美月に聞いてほしくて仕方がなかったんだ。 「……昨日ね、賢が夜お店に来てくれたんだけど」 「あ、そうそう。私が言ったの、椿が変な女に狙われてるから助けてあげてって。賢ちゃんなら熱い男だから、親友の事体張って守ってくれそうじゃん」 「確かに、守ってはくれたんだけど……」 「けど?何よもぉ……そこ焦らさないでよ!」 焦らしているつもりはないけど、何となくやっぱり言いづらい。
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