16年間の優しい嘘

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「まぁでも、賢ちゃんはそんな人じゃないか。ていうか椿、別れた途端モテモテだね!」 「……何か、楽しんでない?」 「あ、バレた?だってさぁ、私結婚しちゃったからそういうのもうないじゃん。独身の椿のネタでしか盛り上がれないし」 「ネタとか言うの、やめてくれない?」 他人の事なら楽しめる状況なのかもしれないけど、当事者の私にとってはかなり苦しい状況だ。 「ごめんごめん。で、どうするの?賢ちゃんの事」 「……ちゃんと話し合おうと思ってる」 「そうだね、それしかないよね。もちろん付き合うつもりはないんでしょ?」 「……うん。だって、やっぱり私、賢の事そんな風には見れないし」 それに、私の心を独占しているのは……。 「それに椿にはもう、類くんがいるもんね」 「え……」 「好きになっちゃったんでしょ?類くんの事」 私は仕事で忙しくて、美月は子育てで忙しい。 昔と比べたら格段に会う機会も話す機会も減ったのに。 どうして美月には、わかっちゃうんだろう。
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