16年間の優しい嘘

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タイミングの良すぎる親友からの電話が終わって、私はそのままメールを作成した。 送信相手はもちろん、賢。 『昨日はごめんなさい。会ってちゃんと話がしたいんだけど。都合いい日ある?』 絵文字も顔文字も一切ない、全く可愛げのない文章。 でも賢とのメールは昔からいつもこんな感じで、絵文字なんて賢には一度も使った事ないかもしれない。 ついさっき美月から連絡がくるまでは、何て連絡したらいいんだろうってモヤモヤしていたのに。 もう、そのモヤモヤはなくなった。 話すなら、早い方がいい。 話した結果、賢とはもう友達ではいられないかもしれない。 でもそれでも、ちゃんと会って話さないと。 メールの送信ボタンを押して、携帯をテーブルの上に置く。 朝食を食べ終えて、使った食器をカチャカチャ洗っていると、ピリリリ……と、メールの受信を知らせる着信音が鳴った。 ……賢だ。 賢はいつも返信が早い。 私と美月とは違って、メールもマメだ。 こんなときでさえ、返信早いんだ……。 洗いものを中断して濡れた手を拭い、少しドキドキしながら、携帯の受信メールを開いた。
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