『好き』が溢れる瞬間

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「未来ちゃん……」 ニコニコと微笑みながら、私の方へ近付いてくる。 その笑顔からは、私への敵意なんて少しも感じられない。 それでも私は、無意識に身構えていた。 「ちょっと莉菜さんと話がしたくて、待ってたんです。ごめんなさい待ち伏せなんかして」 「あ……ううん、大丈夫だけど……」 話って、類の事しかないよね。 この間、ちゃんと話し合ったって言っていたのに。 やっぱり、納得いってなかったのかな。 「あ……じゃあ、どこか外で話す?すぐ近くに公園あるけど」 「外ではちょっと話しづらいんで、莉菜さんの部屋に上がってもいいですか?」 未来ちゃんと、部屋で2人きり。 考えただけで、何かまずい気がする。 でももうこの時間なら豪が家にいるかもしれない。 「でも家には多分豪もいるけど……」 「豪くんなら、まだ帰ってきてないみたいでしたよ。インターフォン鳴らしても、応答なかったんで」 そういえば朝、今夜は愛ちゃんとデートだから遅くなるか泊まってくると言っていた気がする。
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