『好き』が溢れる瞬間

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「……ダメですか?」 「ごめんね、ちょっと部屋掃除してなくて汚いから」 これはホントの事だ。 もともとマメに掃除をする方ではない。 「……そうですか」 「駅の方行けば、カフェとかあるからそこでも良ければ……」 「もしかして、部屋に類がいるから、私に家に来られると困るとか?」 「え……」 さっきまで微笑んでいた未来ちゃんの顔からは、笑みが消えていた。 反対に、今にも泣き出しそうな表情で言葉を続けた。 「冗談ですよ。まさか本当にいるんですか?」 「まさか……来てないよ」 「私、つい最近、類と会ったんです。類、言ってました。あなたの事が好きだって」 「……っ」 何とも言えない緊張感が、私と彼女の間を漂う。
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