217人が本棚に入れています
本棚に追加
未来ちゃんは、ゆっくりと顔を上げて私を見つめた。
「偉そうな事を言うつもりはないけど、類の気持ちを決めるのは、私でも未来ちゃんでもなくて……類しかいないと思う」
「……」
「だから……」
「余裕ですね」
「……余裕なんてないよ」
余裕なんて、あるわけない。
人の気持ちなんて、あっという間に変わってしまう。
実際自分だって、長い間恋愛対象外だった類の事を、今は誰よりも好きになっている。
自分でも戸惑うくらい、急速に。
だから類だって。
いつ、彼の気持ちが変わってしまうのかなんて誰にもわからない。
変わってほしくなんてないけれど、どれだけ願っても、思い通りにいかないことはやっぱりあると思う。
「でも莉菜さんが、類を誘惑したんですよね」
「私は誘惑なんて……！」
「したって言って下さいよ！じゃないと私、苦しいです……」
私の目の前で、彼女は泣き出してしまった。
どうしよう……。
最初のコメントを投稿しよう！