『好き』が溢れる瞬間

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「未来ちゃん……あの……」 ここは、マンションの目の前だ。 通りすぎる人達が、興味津々に私達に視線を送る。 とりあえず、ここで話すのは目立ちすぎる。 「未来ちゃん、とりあえずどこか違う所で話そ?」 だけど彼女は泣いたまま、その場を離れようとしない。 もう、こうなったら仕方ない。 「部屋汚いけど、家上がって。多分豪はまだ帰って来ないと思うから」 そう言って、泣いている彼女を連れてエントランスに入ろうとしたときだった。 「待って。俺も行くから」 「……え」 その声に、私も未来ちゃんも驚いて振り向くと。 何故か、涼しい顔をした類が少し離れた所からこっちに向かってくる姿が見えた。 ……なんで、類がここにいるの?
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