『好き』が溢れる瞬間

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「類、どうして……?」 「とりあえず、上で話そう」 そう言って類は、私と未来ちゃんよりも先にエントランスに入って行く。 オートロックの自動ドアの前で自分のキーケースをポケットから取り出して、当然のようにこのマンションの鍵を差し込んだ。 そして、入口の自動ドアがウィーンと音を鳴らして開いた。 「2人とも、早く。エレベーター来るから」 まるで、自分の家のように私と未来ちゃんを中へ誘い込む。 未来ちゃんは、類のあまりにもこのマンションに慣れている行動を、不満そうに見つめていた。 ていうか、私の家の鍵、キーケースに付けてるんだ……。 でもこの鍵、私があげたんじゃないんだけど……絶対未来ちゃんは、私が合い鍵をあげたと思ってるんだろうな。 そんな事を思いながら、3人で沈黙のままエレベーターに乗り込んた。  そして、私の部屋に到着した。 「あ……ごめんね汚いけど、適当に座っててくれる?未来ちゃん」 私がとりあえずコーヒーを淹れにキッチンへ行くと、リビングのソファーに座った未来ちゃんと類の会話が聞こえてきた。
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