『好き』が溢れる瞬間

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「どうして類までここにいたの?」 「未来なら、絶対莉菜に会いに行くと思ったから」 「それどういう意味?」 「未来が本当は納得してない事も、莉菜に逆恨みしてる事もわかってたし。だから、莉菜のとこ絶対行くだろうなって。……お前の行動パターンなんて、すぐに読めるんだよ」 キッチンにいても、伝わってくる。 類の、冷たい声。 その声は今まで私が知っていた類とは別の人のようで、少し、怖かった。 「だって私、類がプロポーズしてくれるのずっと待ってたんだよ」 「……」 「なのに、どうしていきなり出てきたあの人に類を奪われなきゃいけないの?あの人さえいなかったら、私達はいつか結婚してたはずなのに」 胸が、チクチクと痛む。 私の存在が、彼女を悲しませている。 その事実は、間違ってはいない。 「……そうかもしれないな」
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