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「勝手に引き出しの中、開けたんだ」
「……」
「それ、返して」
未来は渋々、莉菜の名刺を俺に差し出した。
「勝手に開けたのは悪いと思ってる。でも、最近不安なの。類が私から離れていくような気がして……」
「俺は正直、結構堪えてる」
「何が?」
「最近の未来の行動。一緒にいて、正直窮屈なんだ」
やっぱり、もう付き合っていくのは無理だ。
考えが、浅はか過ぎた。
「……別れようか」
「嫌」
「……」
「絶対嫌。別れるなんて嫌。ごめんなさい。嫌なとこがあったら、直すから……お願い!別れるなんて言わないで……」
未来はポロポロと涙を流しながら、俺に力なく抱きついてきた。
結局俺はそんな彼女に同情して、別れる事は出来なかった。
だけどその同情は、より彼女を傷つける結果になってしまったんだ。
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