君しか見えない

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その日の夜は結局遅くまで莉菜の家で豪と愛ちゃんと話をしていた。 日付が変わってから、自分のマンションへ帰宅した。 帰宅してふと携帯を見ると、未来からの不在着信と大量のメールが届いていた。 『別れたくないよ』 『電話に出て』 『今、誰とどこにいるの?』 数分置きに届いているメールの内容は、読んでいると罪悪感を感じるものばかりだった。 「……」 全て、無視した。 メールの返信も、電話も一切返さなかった。 こういうとき、こっちは期待させるつもりなんてなくても、きっとメールを返しただけで相手は期待をしてしまう。 例えどんなに残酷な言葉を返したとしても、反応があった事で僅かな望みを抱いてしまう。 きっと自分なら、間違いなく期待する。 もう、嫌ってほしい。 早く忘れてほしい。 こんなにも自分勝手な男の事なんて、一生恨んでくれて構わないから。 俺は携帯の電源を切って、眠りについた。
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