君しか見えない

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莉菜が四年間付き合っていた男と別れた夜。 俺の運命が、動き出した夜。 莉菜の唇に触れた夜。 俺はその日の内に、自分の彼女の家へ向かった。 自分の決断を伝えるために。 「類、どうしたのビックリした……」 「ごめん、急に。今、ちょっといい?」 「うん、もちろん!部屋少し汚いけど……類が来るってわかってたらちゃんと掃除しておけば良かった」 未来が、嬉しそうに俺を部屋に招き入れる。 こんな俺を真っ直ぐに愛し続けてくれた彼女。 家に来ただけで、こんなにも笑顔で迎えてくれる。 でも、ごめん。 勝手な男だと、罵倒されたって構わない。 いや、むしろ。 もう二度と顔も見たくないくらいに、嫌ってほしい。 「いや、玄関でいいよ。今日は話をしに来ただけだから」 「……話って、何?」 さっきまで笑顔を浮かべていた未来の表情が、瞬時に変わった。
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