君しか見えない

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「母さん、豪の言う事なんていちいち信用しなくていいから」 ……アイツ、次会ったら説教だな。 「そう……でも残念だわ。あんな可愛い子がお嫁さんになってくれたら、私も嬉しかったのに」 「大丈夫だよ。その内、ちゃんと結婚したい人連れて行くから」 「本当に?でも……ちゃんと見極めないとダメよ。変な女に騙されないようにね」 「わかってるって。じゃあ、忙しいから切るから」 別にもう仕事は終えているけれど、忙しいと言って無理やり電話を切った。 出張先のホテルのベッドに倒れ込み、目を閉じる。 俺の両親は、結構面倒くさいタイプの親だと思う。 母はとにかく、清楚で礼儀正しい女性を好む。 昔、学生の頃俺が適当に女の子と付き合っていたとき。 少し派手でギャルっぽい外見の子を家に連れて行ったら、後からもの凄くグチグチ言われた事を覚えている。 未来は外見も可憐な感じで、言葉遣いも綺麗な方だから、母は本当に俺と未来が結婚する事を望んでいたんだろう。
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