君しか見えない

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自分の想いの強さに呆れる事も度々ある。 どうして莉菜じゃなきゃダメなんだろうって、思った事も何度もある。 結構デリカシーのない所もあるし、嘘でも家庭的な女性だとは言えない。 料理が上手なわけでもなければ、掃除が得意なわけでもない。 だけどそんな彼女の欠点も、結局全て好きだ。 莉菜がいつか本当に俺の事を好きになってくれる、そんな奇跡が起きたとしても。 彼女の想いが俺の想いを超える事は、きっとないと断言出来てしまう。 でも、それでもいい。 同じくらい好きになってほしいなんて、望んでいない。 ただ、少しでいいから俺の事を見てほしい。 そして、俺の傍で笑っていてほしい。 望むものはそれだけなのに。 それだけなのに、それが一番難しい。 「……絶対、手に入れる」 まずは来週の月曜日。 彼女をデートに誘う。 俺に対する彼女の意識を、変えさせてみせる。
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