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「利用って……」
「ごめん。でも何を言われても、この気持ちは変わらないから」
未来は、泣いた。
俺の腕にしがみついて、今まで別れ話をしたときと同じように泣いた。
けど、俺は腕にしがみつくその手を振りほどいた。
「類……」
「未来が泣いてるところを見ても、もう何とも思えない。……ごめん」
そして俺は、玄関の扉を開けて彼女の部屋を出て行った。
未来は、追いかけては来なかった。
そしてその時点で、別れる事が出来たと俺は勝手に思っていた。
本当に、最低な男だと思う。
狡くて、あざとくて、冷酷だ。
二年間付き合っていた彼女が別れたくないと泣いている姿を見ても、少しも心が動かない。
莉菜に対して、自分の想いを正直にぶつける事が出来るんだと思ったら。
もう、嬉しさしかなかった。
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