君しか見えない

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その日から数日後。 この日、仕事で外に出ていた俺と先輩は近くの蕎麦屋で昼食を食べた。 「今日のクライアント、結構条件キツそうだったな」 「そうですね……会社戻ったらもう少し条件面詰めてみます」 「ここの蕎麦旨かったな。会社の近くにあれば常連になるのに」 意外と当たりだった蕎麦屋を出て、先輩と話しながら歩いていたとき。 目の前に見える曲がり角の先、サンドイッチ専門店が見えた。 ……ここ、莉菜が好きな店だ。 昔からある老舗のサンドイッチ専門店。 莉菜はよく、ここのサンドイッチが一番美味しいと言って美味しそうに食べていた。   莉菜に買って行くかな。 「先輩、先に会社戻ってて下さい」 「え?何で?」 「ちょっと、寄りたい所あるんで」 「寄りたい所って?あ、もしかしてお前、この昼休憩の時間の間に彼女に会いに行こうとか思ってんじゃねーの?」 「違いますよ。それに彼女、今いないですから」 「はっ?マジで?ウソ、別れたの?何で?お前、あんなに彼女の事好きだったじゃん!女遊びもしなかったのに」 それは別に未来を想っていたわけではない。
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