一秒きりのキス

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「うわぁ……何この水族館……凄い!」 「何かここ、有名らしいよね。俺もここ来たのは初めてだけど」 「私、水族館なんて10年振りくらいかも」 ボソッと呟きながら、莉菜は目を輝かせて水族館の魚達に見入っていた。 「見て類!凄い綺麗だよあの魚」 ていうか、10年前、誰と行ったのか凄い気になるんですけど。 「誰と行ったの?」 「え?」 「だから、10年前」 10年前の事が気になるなんて、アホかと自分でも思うけど。 莉菜の事だけは、どんな些細な事でも気になってしまう。 重い男だって事は、当然百も承知。 「賢と美月と3人で行ったの。ここの水族館じゃないけど、凄い楽しかったから今でも覚えてるんだ」 「……元カレじゃないんだ」 「え?元カレ?どうして?」 「いや、いいや。何でもない」 まだ付き合ってもいないくせに、早くも彼女を独占したい自分。 気持ちが先走りし過ぎている。
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