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万年筆のような青色のペンで、国語の先生が書きそうな丁寧な文字で書かれた手紙。 下の方に緒方さんのケータイ番号とメールアドレスが書いてある。 女性からの手紙なんて初めてだ。 今のご時世、EメールやLINEなど機械的な文字でのやり取りがほぼ100%を占めているというのに…… オレが渡した名刺の連絡先にメッセージを送ってくれても良かったのに…… なんだこの暖かい心のこもった文面は。 オレはもう一度、読み返した。 胸の鼓動が乱舞している。 そして震える手で彼女の連絡先を自分のスマホに登録した。 そのままの勢いで彼女のケータイに電話をした。 彼女も昼休憩中だろうか。 どうか電話に出てくれますように、そう願った。 そして彼女はもう『目の保養だけの人』なんかじゃないんだと…… END
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