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「賢雄<けんゆう>。だいぶ様<さま>になってきたなぁ。
豊<とよ>さんも、ちっと楽になってきたんじゃないか?」
休憩時間に、応援に来ていた親父の古い仲間の田尾<たお>さんが話しかけてきた。
オレのことを生まれたときから知っている人。
昔は親父と同じ工務店に勤めていて、親父が独立したと同時に田尾さんも独立したと聞いている。
「そうっすか?
親父からしたら、まだまだみたいっすけどね。」
オレは缶コーヒーを片手に、向こうで他の応援者と話をしている親父の方を見ながら言った。
「賢雄の前じゃそんな事言ってるかも知れんけどな、組合とかではちゃぁんとお前のこと一人前だって認めてて、誉めてんだぞ。
親バカだ、ハハハッ。」
田尾さんは豪快に笑いながら、オレの背中をバンっと叩いて、親父たちの方へと行った。
親父がオレを一人前だと認めてくれている…。
内心、嬉しかった。
今日、無事に上棟式も終え、応援してくれた人たちにお礼を言って解散となった。
そんな時、ふとまた彼女の笑顔がよみがえった。
また明日もあの笑顔を見れるだろうか。
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