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ここは、「PRIPRI_LIP」
キャバクラだ。
キャバクラといえば、大音量のトランス音楽、隣の席の声も聞こえない、やかましい空間のイメージだった。
店内を見渡すとサラリーマンなどの大人が多く目につく。
音楽はクラシック、ライトも暗めで落ち着いた雰囲気だ。
店によって客層が違えば、店内の様子も異なるのか。
ゴクゴクゴク。
水割りを飲み干した。
そんなことどうでもいい!
グラスをテーブルに叩きつける。
二人は気にする素振りもなく、キャバ嬢たちに囲まれ楽しげに会話をしている。
「モシモシ……?」
「可愛いぃ~」
「モシモシっ」
「可愛いぃ~」
「モシモシ!」
「可愛いぃ~」
「モシモシモシモシモシモシ!」
「可愛いぃ~」
どこが可愛いの!
お前、鼻の下伸ばしてるんじゃない!
「ピンドン一つ」
「ありがとうございますぅ」
キャバ嬢は盛り上がった胸を夜空の腕に押し付ける。
夜空は眼鏡を直しながら、
「フルーツ盛りもお願いします」
「嬉しいぃ~」
両隣のキャバ嬢たちが、一斉に夜空に抱きつく。
二人はキャバ嬢にチヤホヤされ、満更でもない様子だ。
イライラする。
私だけ不満が蓄積する。
「夜空さん」
「かんぱぁ~い」
「乾杯」
「夜空さん」
「はい、あ~ん」
「あーん」
何度呼んでも無視される。
プッチン。
キレた。
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