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私は腰を浮かせ、テーブルに両手ドンとついた。 キャハキャハ媚を売っていたキャバ嬢たちが、ギョッとし口を閉ざす。 「何でキャバクラなんですか!」 ギロリと夜空を睨み付けた。 「何がどうしてこうなったのか全然わかりません!」 「君はアメリカン・ビューティーを観たかい」 「は?」 「主人公である中年男の妄想の中、娘の美人同級生が服をはだけると赤いバラの花弁が溢れ出す。とても官能的なシーンだった」 だからなんだ。なんなんだ! 「それをもっとこう……露骨にした、即物的なCMを流したんだ」 サーセンモシモシ星で、と小声で追加した。 脳がフリーズする。 「は? え……はあ?」 動き出した脳が導き出した答えは、 「エロCMってことですか!? 最低!」 エロCMを流したということは、 地球=エロという式が、成り立っているということだ。 「言っておくが、政府の観光PRの一環だぞ」 政府がエロCMを流していいのか! いいはずない! 「はあ? 何を考えてんですか!」 「サーセンモシモシ星は性に厳格なところだ。すぐにCMは放送中止になった」 サーセンモシモシ星はマトモだったということか。 「だがインパクトは絶大だった。サーセンモシモシ星からの旅行者は、まだ上半期も終わっていないというのに前年の20倍になった。アレは成功だったということだ」
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