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「徳城さんありがとうございます! 私の運命の人を連れてきてくれて!」
私はお客様をひと目見て、確信した。
彼は私の運命の人であることを。
理由は私。
私がそう感じるのだから間違いない。
「はあ……。イタ子ちゃん、成長する気配もないね。頭も胸も」
徳城は気怠げなため息と共に吐き出した。
「その台詞何度目かな」
私の耳には届かない。
ずっと探していた運命の人を見つけた喜びと興奮で、顔も体も沸騰したように熱い。
心臓は痛いほど鼓動を打ち、緊張からか無性に喉が乾く。
私を突き動かすものは愛だ。
「この日を夢見ていたんです!」
「イタ子ちゃん」
「私も彼も。結婚式には招待しますね」
「もしもし」
「あ、でも彼の星で挙げることになるからこれないですね」
「もしもーし」
「でも大丈夫! 私、幸せになります!」
徳城は頭を押さえた。
「頭が痛い。労災おりると思います?」
「申請してみてくれ。おりたら私も申請する」
夜空は引渡証を徳城に戻す。
戻っていく徳城は後姿まで気怠げだった。
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