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辻霧は身を乗り出した。 「なぜですか」 「事件現場となったマンションの状況が、ちょっと奇妙なものなのよ」 「奇妙?強盗犯が小細工でもしましたか」 「半分正解かな」 辻霧の片眉がピクリと吊りあがったのを、音無刑事は見逃さなかった。 「順を追って話しましょう。事件が起きたのは一週間前の夕方……」
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