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真田君が背を向けて腰を落とす。横を向いて私が体重をかけるのを待っている。
「……じゃ、じゃあ、カバンだけ持ってもらえばいいよ」
「遅れんだよ、早くしろよ」
なんだか偉そうだ、と不満に思いながらも、私は渋々真田君の背中に乗った。
遅れると言ったくせに、すぐに動かない。私は少し上半身を乗り出して真田君の顔を確認してみると、真田君は私の左足のギプスをじっと見ていた。
「ごめんな、生田」
その真剣な顔に、どきん、とした。
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