真田君の背中

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私はお目当ての本を手に取って借りる手続きを済ませて、駆け足で階段を上がって行った。 ちょうどチャイムが鳴る。 急がなきゃ…… 三階の階段の半分まで来たところで、またざわざわしているのが聞こえた。 どこから声がするんだろう……。 あと一段で上りきると言うところで、私は右手の廊下を見渡した。 教室から数名の生徒が出てきてこちらを見ている。 ああ、こっちか、と振り返る間もなく、私の身体に誰かの背中が思い切りぶつかって来て、私はぽんと飛ばされた。 あり得ない、と思った。 だって本当にビリヤードの玉みたいに階段の下に突き出されたのだから。 頭から落ちるのはまずいよね、えっと……。
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