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その時に私は隣に倒れているのが真田君だと気づいた。
「今は俺のことよりもこっちだろ」
真田君はジャージの生活指導の教師に驚くほど乱暴な言い方で彼の腕を振り払った。
「生田?生田か?お前は?」
「落ちたんだよ、俺の後ろにいて。早く何とかしてやれよ!」
私の腕を引いて起こそうとする教師を真田君は再び振り払い、
「ばっかじゃねえの、お前!」
と言った。
それは私も激しく同感した。
こんなに痛いのに、立てるはずがない。ばかじゃないのか。
骨、折れてるな、と真田君がぼそっとつぶやいた。
骨折なんかしたことのない私は『骨折』という言葉の響きに恐れおののいて半泣きになった。
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