真田君の背中

6/9

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
真田君は私の身体の下に自分の背中を滑り込ませた。 「ちゃんのつかまれよ」 言われるがままに真田君の首に腕を回すと、真田君は立ち上がり私をおぶって階段を下り始めた。恥ずかしさよりなにより、痛さで気が遠くなるようだった。 真田君が一段降りるたびにその衝撃で私は目がくらみそうだった。 「……痛い」 「すぐ着くからもう少し待ってろ」 「無理、痛いもん……」 冷静になるとバカみたいだが小学生以来、私は痛みに泣いた。 「泣いてる?あり得ねえ」
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加