真田君の背中

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「走らないで!怖い」 「……んだよ、急げって言ったり、走るなって言ったり」 「……だって、痛いんだもん」 真田君はようやく保健室に着き、待機していた養護教諭の佐藤先生に言われたとおりに私をゆっくりとベッドに下ろした。 「あー、こりゃ完全に折れてるな」 私は上体を起こして恐る恐る自分の足首を見て悲鳴を上げた。倍以上に青く腫れあがっていたのだ。 もう、なんだか、神様に捨てられたような気がした。 きっと私が何か彼のお気に召さないことをしでかして嫌われたのだ、と思った。だってそうじゃなきゃ、こうまで不幸は続かない。 私はベッドの上でわんわん泣いた。
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