真田君の背中

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佐藤先生はこれから向かう外科病院へ電話をかけてくれていたので、口に指を立てて静かに!と合図をしたがそれにさえも私は否定された気がして泣いた。 真田君は大きな体を曲げて小さくして私の背中をさすったが、気が立っていた私は真田君に枕を投げつけて、 「あっち行け!大っ嫌い!」 と怒鳴った。真田君もさすがに戸惑っていたが、佐藤先生が電話を終えるまで横で待っていてくれて、もう一度私を駐車場まで負ぶって先生の車に乗せてくれた。 「すいません、お願いします」 「はーい、真田君ももういい加減にしなよ」 佐藤先生は私を気遣ってゆっくりと車を動かしてくれた。 結局私の骨は折れていて、全治3週間と診断された。
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