片利共生

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 楽しそうに笑うサメコを無視し、周囲を見渡す。  見目麗しい花が咲き誇り、ちびっ子たちがキャッキャとはしゃいでいる。  ここまではいつもの事だが、何故か今日はまた違った集団がいた。  「……あいつら、隣町の奴らっすよね?」  俺の視線の先に気付いたか、サメコがそう尋ねてきた。  その言葉の通り、ウチの学校とは違う制服を着崩した男達が数人たむろしていた。  この辺じゃまず見かけない不良集団だ。  「何でこんなとこにいるんすかねぇ?   群れるなら地元でやりゃあいいのに。」  不思議そうな口調、俺が聞きたいわ。  ま、関わらなければいいか。  そう思っていたら、その中の一人とバッチリ目が合った。  あ、やっべ。  逃げる間もなく絡まれた。  「おい、デケェの、じろじろ見てんじゃねぇよ、殺すぞ、あぁ?」  ドスを効かせてそう凄む不良A。  ドレッドヘアーが良く似合う、言われても嬉しくは無いだろうが。  周りのB,C,Dはニヤニヤ笑いながら俺を取り囲む。  今時こんな奴ら本当にいるんだな、驚いた。  後、いつの間にかサメコはどっかに行ってた、逃げ足の速い奴め。  ちょっと面貸せや、そう言って俺をしょっ引いていく不良s。  騒いでも迷惑だろうし大人しく連行される。  きっと誰かが通報してくれるだろう。  木の影でこっちを見ているサメコには気付かない振りをした。  俺を裏路地に連れ込み、壁に押し付けるように囲む不良s。  男囲って何が楽しいんだか。  それにこんなのは、女子か、百歩譲ってひ弱な男子を狙うモノだろ。  なんで敢えて俺みたいな巨漢を狙うんだよ、サメコ狙えよ。  俺がそんなどうでもいいことを考えていると、ニタニタとドレッドが笑って言った。  「久しぶりだなぁ、海堂。   俺の事を忘れたとは言わせねぇぜ?」  …………は?  全く心当たりが無い。  考え込む俺には気付かないのか、ドレッドは更に饒舌に  「あん時の恨み、今日こそ晴らさしてしてもらうぜぇ?」  なるほど、こいつは初めから俺を狙ってたわけだ。  「……どちら様?」  それでも、思い出せない物は思い出せない。  一瞬ポカンとしたドレッドだが、すぐに顔を赤黒くした。
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