片利共生

4/11
前へ
/11ページ
次へ
 楽しそうに笑うサメコを無視し、周囲を見渡す。  見目麗しい花が咲き誇り、ちびっ子たちがキャッキャとはしゃいでいる。  ここまではいつもの事だが、何故か今日はまた違った集団がいた。  「……あいつら、隣町の奴らっすよね?」  俺の視線の先に気付いたか、サメコがそう尋ねてきた。  その言葉の通り、ウチの学校とは違う制服を着崩した男達が数人たむろしていた。  この辺じゃまず見かけない不良集団だ。  「何でこんなとこにいるんすかねぇ?   群れるなら地元でやりゃあいいのに。」  不思議そうな口調、俺が聞きたいわ。  ま、関わらなければいいか。  そう思っていたら、その中の一人とバッチリ目が合った。  あ、やっべ。  逃げる間もなく絡まれた。  「おい、デケェの、じろじろ見てんじゃねぇよ、殺すぞ、あぁ?」  ドスを効かせてそう凄む不良A。  ドレッドヘアーが良く似合う、言われても嬉しくは無いだろうが。  周りのB,C,Dはニヤニヤ笑いながら俺を取り囲む。  今時こんな奴ら本当にいるんだな、驚いた。  後、いつの間にかサメコはどっかに行ってた、逃げ足の速い奴め。  ちょっと面貸せや、そう言って俺をしょっ引いていく不良s。  騒いでも迷惑だろうし大人しく連行される。  きっと誰かが通報してくれるだろう。  木の影でこっちを見ているサメコには気付かない振りをした。  俺を裏路地に連れ込み、壁に押し付けるように囲む不良s。  男囲って何が楽しいんだか。  それにこんなのは、女子か、百歩譲ってひ弱な男子を狙うモノだろ。  なんで敢えて俺みたいな巨漢を狙うんだよ、サメコ狙えよ。  俺がそんなどうでもいいことを考えていると、ニタニタとドレッドが笑って言った。  「久しぶりだなぁ、海堂。   俺の事を忘れたとは言わせねぇぜ?」  …………は?  全く心当たりが無い。  考え込む俺には気付かないのか、ドレッドは更に饒舌に  「あん時の恨み、今日こそ晴らさしてしてもらうぜぇ?」  なるほど、こいつは初めから俺を狙ってたわけだ。  「……どちら様?」  それでも、思い出せない物は思い出せない。  一瞬ポカンとしたドレッドだが、すぐに顔を赤黒くした。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加