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「テメェ!!嘗めてんじゃねぇぞ!!!」
嘗めてる訳では無いが、本当に思い出せない。
「……名前教えてくれよ。
悪いが、覚えてない。」
憤怒に顔を歪ませるドレッド、やがて吐き捨てるように
「俺ぁ越前だ!!!
聞き覚えが無いなんて言わせねぇぞ!!!」
…………全く聞き覚えが無い。
しかし、少し引っかかったことがある。
ドレッドヘアーで名前が越前、と。
「………エチゼンクラゲか。」
「あぁ゛!?」
耳が良いんだな、どうでもいいが。
「すまんが、全く心当たりがない。人違いじゃないか?」
海堂と言っていたし俺で間違いないだろうが、俺は荒事は嫌いだ。
案の定、信じてくれなかった。
「ふざけんなよ!!!
テメェみたいなごつい奴そうそういるわけねぇだろうが!!!」
それもそうか。
「おいヨっちゃん、もういいだろ、さっさとやっちまおうぜ。」
ニヤついた不良Cがそう言った。
ヨっちゃんとはクラゲ男の事だろうか。
クラゲも表情を汚い笑みに変えて、
「そうだな、おい海堂。
今からお前をフクロにするけど、悪く思うなよ!!!」
言うが早いか、殴りかかってきたクラゲ。
B、C、Dも同時に突っ込んできた。
こんな時体がデカいのは不便だ。
避けるには向いてないんだよな。
抵抗してもいいが、俺が耐えればいいだけだと拳を受け入れた。
「あの、ちょっといいですか?」
拳が当たる直前での第三者の声。
場違いなほどに穏やかな声だった。
路地の入口にメガネをかけたうちの生徒が立っていた。
俺には知った顔だったが、連中は知らなかったらしい。
止める間もなくクラゲが絡みに行った。
「おいおい、なんだテメェ?
痛い目見たくねぇなら退いてろや!!」
凄むクラゲ、しかしメガネの方はどこ吹く風と言い返す。
「いえ、彼はボクの知り合いなんですね?
だから集団リンチは止めて欲しいなぁ、と。」
「は?そんなん聞く訳ねぇだろ、殺すぞ?」
脅しをかけるクラゲ、ただ、彼の正体を知っている俺は止めるべきだと思っていた、クラゲの方を。
でないと、怪我人が一人じゃ済まなくなる。
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