46人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「こんなん信じるヤツ、友達な訳ないだろーが」
「…」
「そもそも、いつも一緒にいたヤツがこれ書いてんだろ?そんなヤツ…最初から友達でも何でもなかったんだよ!」
本当に友達なら、こんなことができるはずはない。
彼女を本当に理解していたのなら、彼女に非がなかったことなんてすぐにわかるはずだ。
「ちが…う」
「…」
腕の中の彼女が、首を振った。
「仲がよかったから…よけい…許せなかったんだと思う」
「…」
「たぶん…わかってた…私が…取ったんじゃないって。辛くて…悲しくて…それを私にぶつけないと気がすまなかっただけ」
ボクは大きく溜息をつく。
そこまでわかっていて、なんでだよ?
そんで、なんでそこまで物分かりいいんだよ?
「じゃ、なんで終わりにしようとした?」
「…頭でわかっても、心でわかる訳じゃない」
彼女の言葉に、一瞬、呼吸が止まった。
「…そっか」
「…」
「そうだな」
そう、ボクだって本当はわかっている。
終わりにしたところで、きっと楽にはなれない。
どんなにツライことであっても、そこから逃げることは何の解決にもならない。
そして何もかも終わりにするということは、ボクが大切に思う人達を、とてつもなく悲しませることになる。
ボクにだって、それくらいのことはわかるのだ。
それでも、心で理解はできなかった。
どんどん溢れてくる“負”の感情から逃れることはできなかった。
だから、ここへ来た。
最初のコメントを投稿しよう!