第1章

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高等部一年C組。普通の男子校のひとクラスだ。 イガラシタカヤは明るい性格と天性のリーダーシップで、このクラスの中心的存在。おまけに学内バンドのヴォーカルをやっている所為で、近所の女子校生から熱い視線を投げかけられている。 紅茶色の長めにした天然パーマを揺らして歌う様は、女子校生の心を掴むのには充分だった。 一方、対照的なのはイケイリリョウタロウ。常に学年トップクラスに身を置いて、口数も少なく、物静かな人物だ。真っ黒で艶のある髪はきっちりと切り揃えられて、黒の横長な細いフレームの眼鏡をかけている。特に仲のよい友人もおらず、かといって浮いた風でもない少し不思議な存在であった。意外に長い睫毛が印象深い。
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