第1章

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きっかけは文化祭に向けての出し物である合唱練習。 高等部一年は伝統的に全クラスでの合同合唱と決まっていて、かなりの迫力だと評判がいい。 課題曲は校歌。難度がかなり高い。体育や音楽の時間と昼休みが練習に当てられる。昼休みが15分になってしまい、皆昼飯をかき込んで練習に参加する。 その日も全クラス集まっての合唱練習中。タカヤが歌いながらふと視線に違和感を感じた。 (なにかが不自然だ・・・) 歌はどんどん進んでいき、タカヤの違和感も強くなっていく。 (・・・・・・あ!!あいつ!) タカヤの視線が捉えたのは、斜め前のリョウタロウだった。 ブレスの仕草がずれている。 (・・・イケイリの奴、歌ってねえ) タカヤは歌いながらリョウタロウの顔を斜め後ろから観察した。決してリョウタロウは集団行動を乱すようなタイプではないと思っていた。だが、校歌をリョウタロウは歌っていない。 (・・・なんでだ?) タカヤは歌いながら考えていた。確かに校歌は難しいが、中等部から歌い続けている。歌えないわけはないはずだ。
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