11人が本棚に入れています
本棚に追加
私たちも他の生徒に紛れて倉庫の中の物で扱える物を探す。
「丸次。これとかよくね?」
「野球バッドとかヤンキーかよ?」
「おう、野球選手に見えるか?」
「すまん。お前の頭の悪さを考慮せずに言った俺が悪かった」
聞き覚えのある声がすると思ったらそこにはあの日以来あまり話してない宮沼丸次(みやぬまがんじ)とその親友の外崎誠(とのさきまこと)がいた。
「先輩。これなんてどうですか?」
エリスちゃんはバドミントンラケットを持っている。
「ありがとう。でもそれはあなたが使ってね」
「えぇ、先輩……何かありました?」
「いや、別に何も無いわよ?」
「先輩?」
エリスちゃんは不思議そうな顔でこちらを見る。どうやら周りに扱える物があったのか聞きたかったのを私が誤解したようだった。
「さて、こいつの出番が来るとはなぁ。行くぞ、ベイビー」
この声は……ベルヘッド=レテルカ先生!?
「ちょっと待て。先生、なぜ銃を持ってるんですか?」と淀川さん。
「人間の手は二本。持てる銃も二本。そしてここは日本。だからよ?」
「意味不明だよ、先生……」と私。
「……というか日本に武器ダメだろ?」と丸次。
「人を守るのに法律なんて必要か?」
その時、誰もが思った。この人に何を言っても無駄だと。だって非常識の英語の先生なのだから。ちなみにアメリカと日本のハーフらしい。
「そこのお前!!武器やるよ」
彼女は私に言う。そして私に近づく。
「先生、銃はいりません!!」
「馬鹿なのか?君は?銃を持つ資格のない人間に銃を渡したら人質になるだろう?そんなわけで銃よりも使えるこれだ」
「これって……ちりとり?」
「あぁ、しりとりじゃなくてちりとりだ。ゴミを拾う為ではなく捨てるためにもあるぞ。まぁ、使い方は色々だ」
そして先生はそのまま倉庫から出ていく。
「相変わらずおっかねー野郎だな。彼女は」
一人の男が後ろでぼそっと言う。
「ひいいい……」
「そんなに驚くなよ。これでも担任かつお前たちの顧問かつ生徒会の顧問。スーパーエリート、龍ちゃん先生が来てやったんだからよ?」
そう、彼は龍屋賢二(りゅうやけんじ)。私たちの担任でもある。
「先生……キモいです」とエリスちゃんが突っ込む。
「おぉ……なんと可愛らしい顔の持ち主に汚い言葉を私は吐かせたのだろう……」
そう言って木刀を持ちながら倉庫を出て行った。
最初のコメントを投稿しよう!