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 さて、彰が担任に連れて行かれ、すでに十五分はたっている。 「遅いな……」  ハーレム妄想をしていた時は気にならなかったが、俺は彰がいなくなってボッチな状況にそわそわし始めた。  周りは新しいクラスメイトとワイワイやっているのに、俺だけ一人、席に着いてポツンとしている。  いや俺はボッチじゃないから!  ちゃんと彰という親友がいるから!  ちょっと席を外しているだけだから!  頭の中で言い訳してみるも、ボッチ感が薄れるわけではない。  うおおおおお!  彰!  早く帰ってきてくれ!  前にある彰の席を見ながら、俺は念じる。  周りにボッチじゃない証明をするには、彰が帰ってくるしかないんだ!  彰あああああっ……ん?  あれ?  珍しく彰が生徒手帳を置いて行っている。  彰の机の上には、紺色の生徒手帳と黒色の生徒手帳が置いてあった。  普段はマイスイートハニーと片時も離れたくないと言って、常に生徒手帳を制服の胸ポケットに入れているのに。 「珍しいこともあるもんだ」  生徒手帳を取り出した時に、担任の思わぬ呼び出しがあってうっかり忘れた……とか?  目線を生徒手帳から外そうとしたが、俺はどうしても気になって生徒手帳を見てしまう。  いつもなら彰が絶対に手離さない生徒手帳。
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