プロローグ

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「いぶし銀って、どういう意味の言葉なんでしょうね。ちょっと検索してもらっても良いですか?」 唐突に頭の中へ浮かび上がってきた言葉、いぶし銀。 いつどこで誰の口から聞かされたか思い出せないその単語がどうしても気になり、あたしはスマホで漫画を読んでいた純一さんへ思いきり顔を近づけながら検索をお願いした。 「何だよいきなり。面倒くせぇな。そんなん、かつお節か何かの一種だろ。この上なくどうでも良いわ」 眼前に突き出されたあたしの顔を煙たがるように、純一さんは頭を右へ左へ、結局右へと背けた。 「えー? だって気になるんですもん。いぶし銀。何なんですかねこれ?」 「知るか。つか、邪魔だよ。画面が見えねぇ!」 煩わしそうに唸る純一さんにおでこをくっ付けるようにしながら、あたしはその細くて目つきの悪い両目をしっかりと見つめ、視線を固定する。
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