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いぶし銀。何だか、想像していたのと全然違っていた。
「ったく、死んだ人間が言葉の意味なんか気にしてどーすんだよ。知ったところで役にも立たねーだろうに」
「そんなことありません。幽霊だって成長するんです、たぶん」
「黙れ、スミレイ」
「その呼び方はやめて下さい!」
あたしの名前、菜野宮 菫(なのみや すみれ)と幽霊をもじってスミレイ。純一さんがあたしをからかうときに良く使う呼び名なのだが、正直言われると面白くない。
「わかりやすくて良いだろ? 菫の幽霊でスミレイだ」
プリプリと怒るあたしを面白がるように一瞥してから、純一さんはまたスマホで漫画を読み始めてしまう。
死んだ人間。
純一さんが言うように、あたしはもう五年も前に生身の肉体を失った存在だ。
一般的な言葉で言えば幽霊。もう少し正確に言うならこの世に未練を残して彷徨う浮遊霊というグループに属しているわけだけれど、正直あたし自身にはそんな呼び名がつけられていることにこだわりはない。
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