プロローグ

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だけどそれと同時に、あたしはつい一年ほど前まで諸事情により悪霊になりかけていた身なので、そう考えて比較すると悪霊より浮遊霊の方がニュアンス的にも可愛いし、世間に受け入れてもらいやすいのではと思ったりもしている。 狭い部屋の中を漂うように移動して、あたしは純一さんの背後へ回り込む。 中肉中背、生まれつき備えていたらしい、ほど良く引き締まったその身体へ密着するように寄り添いつつ、あたしは純一さんの手元を覗き込んだ。 「暇さえあればそんなのばっかりいじって、楽しいんですか?」 純一さんが見つめるスマホの画面には、何やら熱血キャラっぽい男の子がボロボロになりながら敵に挑んでいるシーンが映し出されている。 あたしが生きていた頃はもっと画面が小さくてボタンの付いた携帯電話が主流だったのに、今はガラケーなんて呼ばれて過去の産物になりかけていると言う。 時代の流れって速いわぁ……と、あたし年取ったなぁみたいな気分に浸りながら一緒に漫画を読んでいると、突然スマホからメールを知らせる音が響いた。 「む?」
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