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あたしは、確かに大した内容ではなさそうだなと純一さんの意見に同意する。
アパート住民の身に振りかかる謎の異変。
きっと、その部屋かアパート、または土地そのものに取り憑く地縛霊と呼ばれる存在によって、霊障――幽霊によってもたらされる怪現象のことだ――を受けているだけだろう。
文面からも鬼気迫るほどの気配は感じられないし、悩ませているのは低級霊の類だと思われる。純一さんなら、この程度の案件はすぐに解決できるはずだ。
実際、その力でこれまでに何十件もの依頼を解決してきているんだし。
「――よしっと。後は相手の返事を待つだけだ」
スマホの操作を終えた純一さんが、得意げな笑みを浮かべてこちらを見てくる。
「久々の仕事だぞ」
「ですね。気合入れて頑張ってください」
仕事だぞと言われても、ぶっちゃけあたしは特にすることがない。
とりあえずで頷きつつ、あたしは他人事のような返事と共に笑い返した。
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