第一話

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          1 依頼人の三谷と名乗った人からの返信は、律儀なくらいに早かった。 常に携帯を握りしめて待機しているのではと思えるほどのスピーディーな対応をしてくれたおかげで、お互いの顔合わせと詳しい仕事内容の説明をする日取りは簡単に決まり、明日の午前十時半に駅前にある喫茶店で待ち合わせることで話がまとまった。 「今日いきなりメールよこして、実際に会うのが明日なんて言ってくるんだから、よっぽど切羽詰まってるんでしょうね。その三谷って人」 畳の上に胡坐をかいている純一さんの隣に座りながら、あたしはまだ見ぬ依頼人を想像する。 文面だけで推理するなら、真面目なサラリーマンと言った感じだろうか。眼鏡なんかをかけていて、少し気弱そうなイメージもあるかもしれない。 年齢は、二十代後半くらいか。まさか、中年ということはないだろう。 「そりゃあ、毎日のようにおかしな現象が起きてるって言うなら、普通の感覚の一般人は切羽詰まるだろーよ。
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