都知事の決断

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私は、某都知事を務めている。 かれこれ任期も2年が経ち、これから大きなプロジェクトも控えており、大切な時期だった。 だが、ある週刊誌により私が過去に私的な飲食などを政治資金で賄っていたのではないか? という疑惑が上がった。 その週刊誌が口火を切り、いまでは都議会やマスコミに対応が求められている状態だ。 私が家族で食事?趣味の美術品を公費で買った?もちろん事実ではあるが。家族との食事であっても是非家族でお越しくださいと招待されたものだし、美術品にしたって芸術を通じあらゆる政治のコネクションづくりに役立てているのだ。 これが、悪いというのなら、アイツだってアイツだって!! 私が知る限りでは、手の指では数えきれないほどの政治家が政治資金という名目で私欲を満たしている。 私の前の都知事に至っては、医療団体からの献金を数千万もらっているんだから、私の今回の騒動なんて金額にしたらかわいいもんだろ? あと少しだけ耐えれば、マスコミだって飽きるに決まっている。 今までの疑惑の件の金額をすべて返還して、給料も全部返す。ボーナスだっていらない。 そうすれば、都民も仕方なく諦めるだろう。 だって、新しい都知事を選出する選挙をやるとしたら50億の公費がかかるんだぞ!? だったら、私がこのままやった方がいいだろう? そんなことを、最近はずっと考えている。 もう実際疲れてた。 誰にも相談などできない。 妻にも相談したが、妻は『あと少しで終わるのよ!のど元過ぎればなんとやら!!』といっている。 あの報道から数日までは、私もそう思っていたが、さすがに3ヵ月が経ち、最近では食欲もほとんどなくなってしまった。 私が、自宅のソファで明日の都議会での資料に目を通していると、普段は私が仕事をしている時は寄り付かない小学校3年の私の息子が近づいてきた。 思いつめた表情で口を開く。 「パパっていま、パパは悪いことしてないのにみんなからいじめられてるんだよね?僕もいま学校でみんなからいじめられてるけど、パパと同じだから頑張るね」 それだけ言うと、自室に言ってしまった。 息子にあんなことを言わせてしまう私は、なんて馬鹿だったんだろう。 明日都庁で記者会見を開こう。。。 息子にはつらい思いはさせたくない。 もう楽になってもいいんだよね。
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