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興味津々といった様子で和紙を手に取り、まじまじと絵を見ている清水の手から、さりげない動作で取り返した伊織は、作業台の上にそれらを並べたり重ね合わせたりしていく。
一枚一枚が孤立した「個」として完成されている絵が、伊織の手によってあるべき位置に配置されたことによって姿を現したものを目にした途端、清水は目を見開き、言葉を失った。
そこには、相反するようで二つで一つ。
まさに表裏一体となる二つの図柄が現れたのだ。
波の合間から這い出て来る小さな骸骨が蛇と共に上へ上へと昇ろうとする姿。
それは復讐を願ってなのか。
それとも自らを荒ぶる炎の中に身を投じて、魂の浄化を望んでいるのか。
兎にも角にも、数多の骸骨によって形成されたがしゃ髑髏が炎に包まれ、その炎を鎮静させようと天に龍が描かれていた。
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