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もう一つの図柄は、同じく、波間から這い上がって来る蛇と骸骨達を束ねているのか。
それとも、骸骨達の苦しみを解き放とうとしているのか。
全てを悟ったかのような表情の美しい女性が経本を手にし、大輪の牡丹を背にして立っていた。
天には龍が戦いの狼煙をあげるが如く、大きな鳴き声をあげようとしているのか。
はたまた、鎮魂の歌を歌っているのか、大きな口を開けていた。
「す、すげぇ……」
魂を揺さぶるほどの美しさの中に、胸を圧迫するほどの鬼気迫る恐ろしさを感じさせる下図に心奪われ、清水は感嘆の声を漏らした。
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